無料のGoogleドライブで電子帳簿保存法に対応する方法【個人事業主向け・タイムスタンプ不要】

公開日 2026-07-15 / 監修:長谷部社会保険労務士事務所

結論:無料のGoogleドライブでも、①日付・取引先・金額で検索できるファイル名を付けて保存し、②訂正・削除の防止に関する事務処理規程を定めて運用すれば、電子帳簿保存法の電子取引データ保存の要件を満たせます。タイムスタンプも、有料のGoogle Workspaceプランも必須ではありません(国税庁「電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】」令和6年6月)。

結論:無料のGoogleドライブでも要件は満たせる

2024年1月から、メール添付のPDF請求書やAmazon・楽天などのネット購入の領収書といった「電子取引データ」は、データのまま保存することが、個人事業主・フリーランスを含むすべての事業者に義務づけられています。ここで法律が求めているのは「特定のシステムを導入すること」ではなく、「保存されたデータが一定の状態にあること」です。具体的には、日付・金額・取引先で探せること(検索性)と、訂正・削除を防ぐ取り決めがあること(真実性)の2つが柱です。

この2つは、無料のGoogleドライブ(個人のGoogleアカウントに付属する15GBのストレージ)でも満たせます。専用の文書管理システムや会計ソフトの契約は、法律上の要件ではありません。

無料のGoogleドライブへの保存でも、①日付・取引先・金額で検索できるファイル名を付け、②訂正・削除の防止に関する事務処理規程を定めて運用すれば、電子帳簿保存法の電子取引データ保存の要件を満たせます。タイムスタンプは必須ではありません(国税庁「電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】」令和6年6月)。

出典:国税庁「電子帳簿保存法特設サイト」・「電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】(令和6年6月)」問15・問44

満たし方は大きく2つあります。1つは、ファイル名で検索性を確保し、事務処理規程で真実性を確保する方法(この記事の本筋)。もう1つは、一定の売上規模以下の事業者に認められている検索要件の免除を使う方法です。順に見ていきます。

要件①検索性:ファイル名を「日付_取引先_金額」にする

検索性の要件は「取引年月日・取引金額・取引先で検索できること」です。国税庁は、専用システムがない場合の満たし方として、ファイル名そのものに日付・金額・取引先を統一した順序で入れて保存する方法を、一問一答で明示しています(税務調査の際に、税務職員からのデータのダウンロードの求めに応じられるようにしておくことが前提です)。

たとえば「20260315_〇〇商店_7500.pdf」のようなファイル名です。「ファイル名を『20220101_eneos_7500』にすれば要件を満たすのか?」という質問をよく見かけますが、方向性はそのとおりで、日付・取引先・金額の3要素を全ファイルで同じ順序・同じ規則で付けることがポイントです。Googleドライブに保存すれば、ドライブの検索窓に取引先名や金額を入れるだけで該当ファイルを探せます。エクセルで索引簿(日付・金額・取引先の一覧表)を作る方法も認められていますが、ファイル数が増えるほど入力の手間がかかるため、個人事業主にはファイル名方式が現実的です。

電子取引データのファイル名に「取引年月日・取引金額・取引先」を統一した順序で入れて保存し、税務職員のダウンロードの求めに応じられるようにしておけば、電子帳簿保存法の検索機能の要件を満たせます(国税庁「電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】」令和6年6月 問44)。

出典:国税庁「電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】(令和6年6月)」問44

売上5,000万円以下なら、検索要件そのものが免除される

個人事業主の場合、電子取引を行った年の前々年(1月1日〜12月31日)の売上高が5,000万円以下であれば、税務職員のダウンロードの求めに応じられるようにしておくことを条件に、検索機能の確保の要件はすべて不要になります(令和5年度税制改正後の基準。令和5年12月31日以前の電子取引は1,000万円以下でした)。多くのフリーランス・個人事業主はこの免除の対象です。

ただし、免除されても「日付_取引先_金額」のファイル名は付けておくことをおすすめします。確定申告や経費の見直しでデータを探すのは税務署ではなく自分自身ですし、売上が伸びて免除から外れたときに過去分をさかのぼってリネームするのは現実的ではないからです。

出典:国税庁「電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】(令和6年6月)」問45(判定期間に係る基準期間の売上高が5,000万円以下の場合)・問16(注)(令和5年12月31日以前の旧基準1,000万円について)

要件②真実性:タイムスタンプは不要。事務処理規程を作って運用する

真実性の要件は、(1)タイムスタンプが付与されたデータを受け取る、(2)保存するデータにタイムスタンプを付与する、(3)訂正・削除の履歴が残る(または訂正・削除ができない)システムを利用して授受・保存を行う、(4)正当な理由がない訂正・削除の防止に関する事務処理規程を定めて運用する——この4つのいずれか1つを満たせば足ります。つまりタイムスタンプは選択肢の1つにすぎず、必須ではありません。

個人事業主の現実解は(4)の事務処理規程です。国税庁が個人事業者用の規程サンプル(Word形式)を公開しており、これをもとに自分の屋号・運用に合わせて作成できます。注意点は「作って終わり」にしないこと。規程は備え付けるだけでなく、規程に沿って実際に運用すること(訂正や削除が必要になったら規程の手順に従うこと)までが要件です。

電子取引データの真実性の要件は、タイムスタンプがなくても、「正当な理由がない訂正及び削除の防止に関する事務処理規程」を定めて運用することで満たせます。国税庁が個人事業者用の規程サンプル(Word)を公開しています(国税庁「電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】」令和6年6月 問29)。

出典:国税庁「電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】(令和6年6月)」問29・国税庁「各種規程等のサンプル

「Workspace有料プランやVaultが必要」と言われる理由と、個人事業主に不要な理由

「Googleドライブで電帳法対応するには、Google Workspaceの上位プラン(Vault付き)が必要」という解説を見かけます。これは、真実性の4つの措置のうち(3)「訂正・削除の履歴が残るシステム」をGoogleドライブ側の機能だけで実現しようとする筋の話です。たしかに、無料のGoogleドライブの機能だけで(3)の要件を満たすと言い切るのは難しく、その路線ではVaultのような監査・保全機能を持つ有料プランが候補になります。

しかし前の章のとおり、真実性は(4)の事務処理規程の運用でも満たせます。規程方式を選べば、ストレージ側に特別な機能は求められないため、無料のGoogleドライブで足ります。月数十件の領収書を保存する個人事業主が、この目的のためだけに有料プランを契約する必要はありません。

出典:国税庁「電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】(令和6年6月)」問15(真実性の確保のための措置)

手作業でやる場合の落とし穴

ここまでの方法は、費用ゼロで今日から始められます。一方で、運用が続かずに要件を満たせなくなる典型的なつまずきもあります。

  • リネーム漏れ:ダウンロードした「invoice(3).pdf」のような領収書が、名前を変えないままフォルダに溜まっていく。数か月分まとめてリネームするのは想像以上に苦痛です。
  • フォルダ整理の月またぎ・年またぎ:月別・年度別フォルダを作っても、入れ間違いや作り忘れが起きる。
  • 重複保存:同じ領収書を2回ダウンロードして二重に保存し、あとでどちらが正か分からなくなる。
  • スマホ完結のつもりが止まる:Amazonの領収書はスマホアプリから表示できないなど、スマホだけでは取得できない証憑がある。
  • 規程を作ったまま運用していない:規程は「定めて運用すること」までが要件。ファイルの訂正・削除を規程の手順によらず行っていると、真実性の説明が揺らぎます。

月に20〜50件の領収書があると、この作業は毎月30分〜1時間の固定コストになります。続けられるなら手作業で十分です。続かない予感がするなら、次の選択肢があります。

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dentyo(デンチョー)は、この記事で説明した手作業をそのまま自動化するサービスです。レシートはスマホで撮るだけ、Amazon・楽天・Yahoo!ショッピングの領収書は自動取得し、「日付_取引先_金額」の検索できるファイル名を付けて、あなた自身のGoogleドライブに年度・月別フォルダで保存します。国税庁サンプルに準拠した事務処理規程のひな型(個人事業主用のWord形式)も生成でき、この規程に沿って運用することで真実性の要件を満たせます。料金は月額1,480円(税別)・リリース記念980円で、7日間無料で試せます。保存先はdentyoのサーバーではなく自分のGoogleドライブなので、解約してもデータはそのまま手元に残ります。

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本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の税務判断については税務署または税理士等の専門家にご確認ください。